過去から続く声vol.1

ニコニコ動画から来てくださった方、間違って迷い込んでしまった方、どなたさまもはじめましてこんにちは♪
はつねともうします

このお話は、この人物を使えば面白そうだからと2008年10月ごろから勝手に書き始めたものです
公式HPでファンディスクの情報が載っているのも知らず、前作の登場人物を引っ張ってきたんです
最初は、完成はまったくの未定でしたし完成後に批評を受け付けようかなと思っていましたが素晴らしいコラボができることになったので突っ走り始めました

駄文の束でもカタマリでも構わず読んでやるぜ、というお心の広い方はどうぞお進みください♪
ええと、FDにも出てこない人物が捏造され名前までつけられて登場します
すみません・・・

BLゲーム鬼畜眼鏡をプレイされ、なおかつフルコンプされた方ならお分かりかと思いますがスチルにチラリと出てきたあの人物の視点で書いています
この時点でスピンオフもんです・・・あははf^^;

と、思っていたらその人物はFDにしっかりご出演されて・・・
ビックリしました・・・いまでもドキドキ。

あ、忘れていました
動画のうp主であるパンツの君はうまくきれいに編集してくださいましたので私のただ長いダラダラ文章はお嫌になる方もあるかも・・・
(;^^A
ご理解いただけると嬉しいです


それははじめます〜♪↓



自分が思い、考え、やってきたことをヤツにぶつけてスッキリしようと待っていた日が明日になった

もう、会うことがないから思いっきりひどい言葉をなげつけてやるんだ
できるだけヤツへの衝撃が大きくなるように・・・
そのためには、あいつらの一人をつかってヤツの気持ちをかき乱すキッカケをつくらなくっちゃ


この一年自分の思い通りに、手駒のように動いたメンバーの顔を次々と思い浮かべて誰にするか考えた

うん、あいつがいいや・・・

自室にある子機を手にとって短縮ダイヤルで電話をかける
この一年、数え切れないほどかけた番号の一つだ
そして、とてもイヤな役回りをしてほしいと頼んだ
いや、おれはいつもより強い語気で命令した
電話口のあいつはものすごく渋っていたけどこれが最後だということが背中を押したらしく最終的には了承した

ゴネても最後に首をタテに振るなら最初から気持ちよくウンって言えよ

そう付け加えようと思ったがやめておいた
明日のために計画してきたのに最後に裏切られちゃかなわない

くふふ・・・それにしてもおかしくってしかたがない


家の外と母のまえではいつでも、どんなところでもどの演技派子役よりうまい"好かれる素直なコドモ"を完璧に演じてきたおれだ、きっとできる・・・
オンナがほとんどの使用人たちはそう思っていないだろうが・・・
どちらにしても明日が楽しみだ


そのときがやってきた・・・
おれに命令されたあいつはヤツに告白した
この一年、いじめるよう指示を出していたのはお前が一番信じていた者なのだと・・・
とても申し訳なさそうに、言いにくそうに一晩悩んだからこそ本心を言ったのだろう
それが余計に衝撃を与えたらしくヤツは力なく地面に座り込んだ
顔が下を向き、目が泳いでいるヤツを見て少し満足した

さあ、もうひと押ししてこの長かったトンネルを抜け出るんだ・・・

「なあんだ、あいつ、しゃべっちゃったのか。黙ってろって言ったのに」
そう言いながら薄笑いをうかべたおれはヤツに近づく
「え・・・?」
顔を上げ、おれを視界に入れたヤツは信じられないとばかりに目を丸くした
たたみかけるようにおれはコトバをたたきつけた
「どうせおまえみたいな奴にはわからないんだっ!
 絶対・・・一生、わかりっこないっ!!
 おれがどんなに頑張ったって出来ないことを、お前はいとも簡単にやりやがって・・・」
「友達なのにいつもお前と比べられて惨めだったおれの気持ちなんて、お前には一生わからないよ!!」
吐き出すと達成感に満たされ、笑いが止まらなくなった
踵をかえしてもと来た道を帰る

言ってやった・・・!
とうとう言ってやったぞ・・・
おれの苦悩を何も知らずおれに相談し、ただ傷ついていたヤツに懇親の一撃をぶつけてやったんだ・・・

ひとしきり笑ったあと、ついつい出てしまった涙を拭く
「ああ、もう最高だな」
そう、思ったのに。
そうなると考えていたのに。
おれの瞳は次から次へと涙を溢れさせた

え・・・?どうして・・・?

必死に拭いても拭いても溢れる水分は止まらず、クリーニングしてもらったばかりのブレザーの袖を濡らした
おれは混乱してしまい顔を伏せたまま走って屋敷に帰ることしかできなかった
出迎えてくれた母の秘書は横をすり抜け階段を駆け上がるおれが泣いているのを見ただろう
が、その後おれに関して何にでも首を突っ込みたがる母から何も言われなかった
友達と違う学校に通うからさみしいと想像でもして何も報告しなかったのだろう

勝手におれの気持ちをわかった気になるなよ・・・

部屋に入ると上着も脱がずにベッドに倒れこみ、枕につっぷして涙が止まるのを待った
どうして涙がでるのかというその理由を探す自らへの問いかけが頭の中をぐるぐる回る
そのうちおれの気持ちはそれに反発するようになった

おれはやったんじゃないか・・・!
だいっキライなヤツにそれを悟らせず過ごしてきて最後にほんとうのことをぶつけたんだ
ショックを与えたのはおれで、受けているのはヤツだと思っていたのにどうしておれまで・・・?


・・・また問いかけにもどってしまった

なんだか疲れてしまったな・・・

と思うか思わないか意識できないくらいでおれは眠りに落ちた
かき乱されてこわれてしまわないうようにと心が動力スイッチを切ったのかもしれない
もう辺りが暗くなってからおれはふと目を覚まし、顔の赤さと気持ちが少し落ち着いていることを確認した

ココロの自己防衛というのは偉大なんだな・・・

そして通うのがロースクールに行くための学校ということもあり、もう誰にも負けないために勉強を始めた
何時間か続いた集中力が切れかけたころ、家政婦が食事のワゴンを持ってきた
「奥様は先ほど着替えを済ませられましてお仕事に戻られまして時間がかかるそうですので先におやすみになるようのおっしゃられました」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
しようがないので母と一緒にいる相手には返事くらい返すがおれはオンナとは口をききたくない
それはこの家政婦も、何人もいる母の女性秘書も使用人もみんな同じだ
いつも通り無視を決め込むが相手も慣れたものだ
事務的に報告だけすると家政婦はすぐに退室していった

その理由は・・・おれがまだ小さいころ、父が母の秘書の一人に手をつけた
そのうちそれは母の知るところとなり、あわてた父は秘書を捨てた
名家への入り婿だった父は自分が何をしたのか冷静になり恐怖を感じたのだろう
だが、捨てられた上に母から強く叱責されたその秘書は解雇されてしばらくののち、学校帰りのおれを襲った
キズをつけたのだ、深く深く・・・
刃物であればついた傷はいつか消えるが、心に消えない傷を負わされたのだ、この、おれの心に・・・
まだ幼かったため何が起きたか分からず、ただ気持ち悪くて泣いていたのを覚えている
どうして自分の家のために働いていた人物がおれを襲ったのかそのときはわからなかったが何年も経ってから使用人どうしの話を聞いてしまい知ることになった
以来、オンナとは貪欲で傲慢な生き物なのだという認識がおれのなかで芽生えた

不愉快なものを思い出して憂鬱な気分になったが意識をワゴンの上の料理に目を向けることでごまかした
どれもしっかりと味がしみた、どんな高級店に行っても食べられない、おれにとっては一番落ち着く料理が並んでいた
おれが彼の料理を気に入ったと言った翌週から我が家の使用人になった料理人は格段によくなった待遇に感謝しておれのいうことはだいたい聞いてくれる

"家族ぐるみの会食"という名目でおれの親は信頼しているのだと見せたい交渉相手におれを紹介すうr
おれも出向く最初の時には値段がバカ高いレストランに行くけどそういう場所では大人の役者も顔負けの演技をしながら食べるのでほとんどの料理が味の濃いものだということしかわからない
元々、バターだのソースだのこだわりましたとアピールする料理など口に合わないのかも知れない
最近はおれが成長したこともあってその頻度が増えてきたから屋敷で夕食をとるときに彼が作るものは和食が多くなった
ひとくくりにするとどれもしょうゆの入った茶色い食べ物だ
栄養と手間と愛情はたっぷり、カロリーは少なめにするとこうなるのだろう
おかげでいまいち苦手だったサカナの煮付けが出されても平気になってしまった

魚の骨を取れない子どもにはならずにすんだけど貧乏くさいよな・・・

ありがたくいただいた後、ワゴンを廊下に出しておいた
使用人たちはおれが部屋にいるときに立ち入った回数をひそかに競っているらしいがこうしておけば誰もおれの部屋に入ろうとしない

ばかばかしい・・・
おれはお前たちなんて、虫ケラ以外なんとも思っていない
そんなことで張り合うなんて、ヒマな証拠だ


お腹が満たされて少し幸せな気分になったら眠くなったのでベッドに入るため着替えた
そして、いつもより2時間以上早く眠りに落ちた・・・

−○−○−○−○−

おれはちっとも整理のつかない気持ちにイラだちながらも勉学に没頭して年月を過ごした
その回が合ってアメリカのロースクールに席を置いている
そして通う学部以外に心理学科があったことからカウンセリングというものに触れる機会があった
教授のカウンセリングでおれは自分の記憶をひもとき、暗い井戸のような心の奥深くに沈めてあった自分の思いを引き上げる・・・予定だったのだが・・・
回数を重ねなければ分からないことが多いのはわかっていらもののどうしてもすっきりしない
実績を積みたい教授のモルモットにされているのではないかという猜疑心があったためと彼の力不足のせいだろうと思っていた

だが十分に興味をもったので卒業したあと、カウンセラーになるべくそれまでの学歴を無意味にする未知に進んだ
同期生には財閥の御曹司やら議員の息子やら・・・金、家柄、容姿、頭脳と4拍子そろった連中・・・がゴロゴロしていてそれぞれおれを部下として採用しようと思っていたらしく非常に驚かれた
が、おれが本気でこれまでのことを活かそうと思えばいつでも戻れると考えたのでどんなにいい条件を提示されても意思をまげなかった

おれの家や一族からカウンセラーなどという職業の人間がでたことはなかった
しかし好意的にとらえた親族によってその話は広められ、華やかな関係を築く家や取引先などに静かに、そして確かに知られていった
退屈な毎日を過ごしているところに、目新しい職業についたおれは恰好の話題にされたのだ

sawamurahakui

その結果、クリニックを開いて半年ほど経つ頃には権力者といっても過言ではない人物ばかりを顧客にもつようになった
どの顧客ファイルも引き抜いてみればどこかで見たことがあるような名前なのだ
年齢とその地位にこそ価値があるとおもっていたある政治家などは初見で孫ほどのおれを鼻で笑ったがしばらくして考えを改めることにしたらしい
そればかりかまた顧客が増えるようなことを周りに言ったらしくしばらくは気ぜわしかった

それがやっと落ち着いた頃、少し遅めのランチをしばらく足を運んでいなかったイタリアンレストランでとることにした
そこで・・・非常に目を引く人物を見た
おれは客席、あちらは帰っていく横顔と後姿だった

ほう・・・?

おだやかに話す職業的クセを押しのけて出たのはいつもと違う自分をしめす感嘆詞
その人物が視界に入ったとたん、惹きつけられて目が離せなくなってしまった

美しい・・・

体型をごまかせないバックスタイルからわかるすっきりとひきしまっている長身のボディと端正な顔
全てにおいて神が愛情を注ぎ込まなければ完成しない作品とも言うべき美の化身だった
彼の周りには空気に輝きすら感じられる

実のところ会っただけで息苦しくなるような金と欲にまみれたガマガエルのごとき政治家や経営者を数多く相手にしているせいか見るだけでも一服の清涼剤のように思えた

どこのどんな人物なのか・・・どうしても知りたい

マネージャーに聞いてみようと思いついてそばを通ったスタッフをつかまえる
彼はすぐにやってきた
「御用でしょうか、澤村様」
「ああ、マネージャーさん」
にっこりと笑うが常々疑問に思っていた、先に聞いておかなければいけないことがある

「わたしが店に入るときのあの歓待ぶりはなぜですか?」
前回までおれが来店をしたときには手が空いているとおぼしきスタッフが勢ぞろいして角度の揃ったおじぎをしておれを迎え入れていたのだ
すぐ聞けばよかったのだが前回やっと気が付いた
「ああ、あれは大奥様から・・・」
満面の笑みをうかべたマネージャーがいいかけた

・・・なるほど、それだけでわかりましたよ

「わかりました」

母上・・・ああいうことはお客が望む場合を除けばする方もされる方もとても恥ずかしいのですよ・・・
とっくに成人している息子のお気に入りの場所を調べ上げているのだ、受け入れてはもらえないだろうが・・・


「あの、澤村さ・・・ま?」
ためいきをついたおれを見て悪いことを言ってしまったのかと思ったマネージャーがおそるおそる声をかける
「いや、気にしないでください。それではほかに言われていることは何かありますか?」
「・・・っ」
いつもはすらすらと何にでも答える彼がつまった
「どうかしましたか?」
「いや、あの・・・」
ピン、ときて聞いてみる

もしかしたらこれが使えるかもしれない

「誰かと一緒に来ることがあったら報告するように、とでも言われましたか?」
しばしの沈黙のあと、彼は認めた
そしてまだ何かあるだろうと穴の空くほど彼を見てやったら搾り出すように付け加えた
「それが・・・女性であったなら・・・すぐ報告することに、なっています・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・やはりそうですか。(ため息)

でも、母は海外を飛び回っていますから現地の夜中に電話をかけてしまって不機嫌そうな声を出されることは必定でしょう
よかったですね、そんなことが今までになくて」
と極上の笑顔で言ってみる

まあ、どうせ秘書の番号しか教えていないだろうしおれとオンナが一緒にいるだなんてことはありえないのでどうでもいいのだが・・・

「はあ・・・あの、申し訳ございません」
小さくなる彼に
「いいんですよ」
と言い、すみませんが知りたいことがあるのでこれを利用させてもらいますからと心の中で追加する
「プライベートで利用できるお店が1軒少なくなることは残念ですが」
一瞬で彼の顔色が変わった

ホームパーティーでの料理やおれが3日とあけず通うおかげで売り上げは相当なものになるはずだ
それに、間違いなく上客になる人物に紹介したりもしている
一ヶ月で彼の給料ふた月分ほど貢献しているだろうか・・・ふふん、当然だろうな

「も、もうしわけ・・・!!!」 「冗談ですよ」
床に頭をこすり付けんばかりに頭を下げようとする彼の言葉にかぶせる
「え・・・?」
豆鉄砲をくらったハトというのはこんな感じなんだろうかと思わせる顔で彼は最敬礼の姿勢から顔だけ起こした
「ぶ・・・っ」
つい、吹きだしてしまった
そして、しばらく肩の震えが止まらなかった・・・
声を出してはいけないと思えば思うほど苦しくなる
くっくっくっ、とひとしきり笑い少し落ち着いてから彼をみるとバツが悪そうに恐縮して立っている
あまりに気の毒なので
「今日あなたに聞きたかったことは別にあるんですよ」
とおだやかに言った
「は、はい・・・!なんなりと!」
彼は弾かれたように姿勢を正す
作戦成功である
彼に気づかれないよう心の中でニヤリとする
さきほど見かけた人物のことを切り出した
「いま帰っていった方たちの中で一番長身の人物はどこの誰ですか?」
「それは・・・」
彼はまた言いよどむ・・・
お店が法人である以上個人情報保護などという文字が彼の頭の中にチラついているのだろう

が!いまさっき白状した、私の連れを報告するハナシはどうなんだ?

にっこりと笑って返事を待つ
ごくり、とつばを飲んで彼は言ってくれた
「株式会社MGNにお勤めの御堂さまとおっしゃる方です」
「そうですか」
勤務する会社と名前さえわかればあとは何とでもなる
「失礼いたします。お料理をお持ちしました」
料理が運ばれてきたのでフォークに手を伸ばす
興味が自分からそれたことを見てマネージャーはそそくさとあいさつを済ませおれのテーブルから離れた

うーん・・・いじめすぎたか?
まあいいさ・・・
                                                            
「マネージャーはサドとマゾ、どっちだと思います?」
「はい?」
スタッフは皿をおく手を一瞬止めて顔をこちらに向けた
「いえ、悪いことを言って落ち込ませてしまったようなんですが・・・
 マネージャーがマゾじゃなければこのまま通おうと思ったので」
皿を静かに置き、人生においてもベテランの部類に入る彼は片方の眉だけを上げたが落ち着いた表情のまま答えた
「はあ・・・うーん・・・どちらなのかハッキリ別れていないかもしれませんがお店のことを考えるとサドですね」
「そうですか」
さすが、教育がしっかりされている
それがここを気に入っている理由の一つだ
ホテルマンのように居心地のよいサービスを提供し、決して慌てない
しばらくしていいタイミングでランチのメインがやってきた
が、テーブルに皿を置くだけなのにもたついている
いまさっき心の中で褒めてやったのにどんな奴だ、と持ち上げたナプキンで口をぬぐいつつ顔を見た

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見上げられていることに気が付いて余計に焦ったらしい彼は皿を水の入ったグラスに勢いよくヒットさせた
グラスは倒れて転がり、水がテーブルを走っておれのスーツに滴った
「ああっ・・・!」
彼の出した大きな声でさきほどのベテランが失態に気づき、拭えるものを目でさがして取りにいった

なにをするんだ、こいつは・・・

そう思ったが彼はスタッフがたどり着くまでに皿と手の間に挟んでいたナプキンをおれのズボンの濡れたところに押し当てた
「・・・っ!」
その行動にさすがのおれもビクりとする
「さ、桜井くん!そこは・・・!!」
駆けつけてきたマネージャーが、拭く事に集中しておれのどこを触っているのか理解していないままの彼の腕をつかんだ
「え?
 ・・・・・・あっ!!///
「大胆な子ですね、ぷっ」
「・・・・・・・・・・・・・・・す、すみませんっ!」
ようやく二重の失態に気が付いて赤面する
残りが少なかったこともあってズボンを濡らしたのはほんの少しだ
「もうしわけありません、澤村さま」
「ああ、いいんですよ
 失敗は誰にでもありますから」
濡れた場所が場所だけにもらった布で自分で拭く
「完全に乾かさなければいけませんから個室に移っていただけますか?
 ご用意させていただきます」
ベテランスタッフに促され、おれは席をたつ
「ああ、それがいいですね
 本当にもうしわけありませんでした
 ほら、君も頭を下げろ・・・!」
彼の頭をつかんで下げさせようとするマネージャーに
「どうか、もう気にしないでください」
と言っておく
が、彼は確実に絞られるだろう
個室に入り濡れた箇所の水分を取りながら
「彼は新人ですか?」
「はい、2週間前に入ったばかりなのですが・・・」
「そうですか・・・彼はこのお店で働いている中ではずいぶん若いですね」
「ええ、そうなんです
 お料理はこちらに運びますからどうぞ召し上がってください」
彼は一度出て行って料理を運んでくると丁寧にお辞儀をしてドアを閉めた

食後のコーヒーを持ってきたのはあの大胆の君だったな
謝って来いとマネージャーに突き放されたのだろう、おれの顔を見ると顔を赤らめ震えてコーヒーのカップをカタカタならしていたな
名前は桜井くんか・・・ふふっ


クリニックへの帰り道、おれには珍しく思い出し笑いをしてしまう
それは今日が良い日だからだろうか
アクシデントはあったものの美しいものとかわいいものを見ることができた・・・


そして翌日からおれは動いた
御堂という男に近づくために・・・

まずは立ち回り先を押さえるか・・・

母と同じ方法を取ることになるが正攻法なのだ
ターゲットの行動が自分の考えの及ぶ範疇に収まりきらない場合も考えて高額だが口が堅く、確実に結果を持ってくる調査会社に依頼する

ダークな部分をもっている人物ではないので4、5日中にはおおよその調べがつくだろう

報告があった場合、すぐ動けるように体を空けておきたかった
だがクリニックを閉めるわけにはいかないのでいつも通り出勤して仕事をこなす
何も変わらないようにしていたつもりだったがおれに興味があるらしい女性の患者になにかいいことがあったのかと聞かれた

これだからオンナってイキモノは・・・まだおれを苦しめるつもりか、いまいましい
変化を見つけて話題にすると女性同士は気にされていると嬉しいのかもしれないがこっちにはメイワクなハナシなんだよ


当然、おれは教えてなどやらず、お茶を濁しておいた
おれのクリニックを訪ねて来る女性は・・・ある程度地位や権力を持つ家の出だからぞんざいにはできないが・・・噂話や習い事、買い物くらいでしかヒマをつぶせないのでそれゆえしつこい
男はうまい見返りがなければ愛想はふりまかないのだと言ってやろうかとも思ったがやめておいた

さて、今日の分は終わった・・・♪

最後の患者をフロアのエレベーターまで見送ると執務室に戻った
さっそく上がってきた簡単な調査結果を見てみると彼は相当なやり手らしい

そうだろうな・・・32で大企業の部長ともなれば出世の速さは異例中の異例だ

それを経営陣に決断させるほどの実力を持っている、美貌の企業戦士

外堀をじわじわ埋めて攻め立てるか、一気に本丸まで否応ナシに突撃するか・・・
どちらにしてもこれは攻略のしがいがありそうだ
彼の、男と商談する経験値は高くても交渉をもつレベルは最低ラインだろう


いままではカラダも視野に入れて口説かれることを期待している男性ばかり追ってきたが飽きてしまっていた
もうこれからは獲物を見つけたら丸裸でも何にでもして手に入れてやる、と思っていたところだったのだ

アイツののこしたものを少しでも薄くするために・・・

ん?

頭の中に聞こえた言葉が一瞬なんだったのかわからなかったがこれからのことに意識が行ってしまいそのまま忘れてしまった


−翌日−
クリニックを閉めてからあの大胆の君の様子を見にあの店に行くことにした
彼はあの後、無事だったろうか
「いらっしゃいませ、澤村様」
「こんばんわ」
「先日は大変失礼いたしましてもうしわけございませんでした・・・
 それではご案内いたします」
スタッフはいつものフロアではなく個室が並ぶ方向に歩いていく
席に案内されるとマネージャーがご機嫌伺いにやってきた

またか・・・
あまりに何度も謝罪されるとうんざりするな


うっとうしいので彼の口上を聞いているふりをしながらメニューを眺めた
客とはいえ息子ほどの若造に気を使わなければいけない彼も大変なのだろうがそれも仕事だ
頼むものが決まったので手で制して注文する
スタッフが下がっていくとマネージャーは立ったままあのあと徹底的に教育したからもう大丈夫だということを説明しはじめたので
「わかりました、ありがとうございます
 せっかく静かな個室に通していただいたので少し考え事をします
 一人にしていただけますか?」
皮肉をまぜてやんわりと退室を促す
彼はまだ言い足りなそうな顔のまま下がっていった

やれやれ・・・

まあマネージャーが大丈夫だというんだ、その教育とやらの成果が今日出たら褒めてやるか

上司や先輩、そしておれの期待通り、桜井はすべてをうまくこなした
立ち居振る舞いはまだぎこちないがグラスや水が飛んでくることはなかったので帰り際に彼に声をかけておいた
「ありがとう」
と。

↑本編ここまで
この回に対応しているニコニコ動画は→こちら

ここまで読んでくださった方、ありがとうございます
パンツの君と二人でチェックしていますが元々がド素人のワタクシの頭から出たものですからツッコミどころはいろいろあるとおもわれます
が、こんな調子で進んでまいりますのであたたかく見守っていただけると嬉しいです
続けて見てやってもいいぜとおっしゃる貴重な方々をvol.2でお待ちしています

ありがとうございました

はつね

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Author:hatsuney
倒れそうな会社でOLをやりつつ腐っているアタマに浮かんだことをちょいちょい書いています
文章力はほとんどありません、すみません・・・
動画とコラボしていないものは脳内補完力をフルにしてお読み下さい

ハマりモノいろイロ



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